2022.04.30
大腸カメラについて ~不安を解消するために~
石川県 野々市市 金沢市 白山市 吉光内科医院
大腸カメラ=下部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査
検査は、まず下剤(1.2Lから2L程度)を飲んでいただき(胃カメラから注入する方法もあります。)、大腸の便をきれいに出し、すっからかんにしてから、内視鏡をお尻からいれていき、右の下腹部の盲腸までいれます。
その後、抜きながら観察していき、ポリープがあれば100倍程度まで拡大観察し、必要があれば切除することもあります。
対象となるのは
〇 大腸がん検診(便潜血検査)でひっかかった。
〇 便秘がひどくなった、血便がでた。
〇 下痢や腹痛などの腹部の症状がある。
〇 貧血(出血の疑われる)がある。
〇 血縁者に大腸がんや大腸ポリープの治療をした人がいる。
などが挙げられます。
大腸カメラはあらゆる検査の中でも受けたくないと思っている人がかなり多い検査だと思います。
その理由は
①検査自体の苦痛が心配
「かなりひどかった」。「もう二度と受けたくない」などの噂をよく聞く
中にはお産よりひどかったと言う人も。
②検査前の下剤の服用が大変
「たくさんの量を飲むのが大変」、「あの味が苦手」
「トイレに通うのが大変」「なかなかきれいにならず、時間がかかる」
そのような不安や心配に対して、当院での工夫を紹介します。
まず①検査自体の苦痛が心配に関してですが、
大腸カメラの挿入技術に関しては基本は優しく、真心を込めてが一番ですが、
様々なテクニックが知られています。
大腸カメラで苦痛が生じる主な原因は【腸が引き延ばされる】ことに起因します。
それはカメラの挿入の仕方によって起こってしまうこともあれば、腹部の癒着によって起こる場合もあります。
癒着とは過去の手術や炎症、女性であれば内膜症などによって生じるものです。
逆にいうと腸を引き延ばさずに、負担をかけずに挿入していけば、苦痛は最小限で済みます。
そのように腸に負担をかけず、順調に検査を終えた方の感想は「思ったより楽でした」、「胃カメラより楽」などとなります。
腸に負担をかけず、引き延ばさずに挿入することができれば、
挿入時間は3-5分、観察時間は10-15分程度で概ね15-20分で検査を終えることも可能です。
検査対象のほとんどの方は、癒着がなく、楽に検査ができるはずなので、
当院では基本的には鎮静剤(ぼーっとする、眠くなる注射)や鎮痛剤はおすすめしていません。
ただ、一部の癒着のある方、緊張や不安の強い方では注射で麻酔をして検査を受けていただくこともあります。
つらさや痛みの感じ方には個人差がかなりありますので、不安な方は遠慮せずに伝えてください。
検査中はいろいろと会話をしながらすすめていきますので、
つらいなどあれば、途中から注射を使うことも可能です。
ただ、注射をすると検査後、1時間程度は院内で休む必要がありますし、
その日の車の運転や危険を伴う仕事は控えていただくことになります。
検査中、検査後の腹部のはり
つらいのは検査中だけではありません。
大腸カメラではそのまま観察するとひだも多く見落としが多くなるため、風船のように膨らませます。
そうするとお腹が張ってかなりつらくなる人もいます(けろっとしている人もいますが…)。
検査後にトイレに行ってもうまくガスがでず数時間つらい思いをしたことがある方もいるかもしれません。
当院では大腸を風船のようにふくらませるときに空気ではなく【炭酸ガス】を使用しています。
炭酸ガスの性質上、体内では速やかに吸収されなくなってしまいます。
そのため、検査後の腹部のはりに悩むことはありません。
②の下剤の服用に関してですが、まず下剤を全く飲まずにする方法というものはありません。ただ、どうしても苦手という方も、 飲む量を最小限にする(別途普通の水分をとる必要はありますが、下剤は合計300mlのみ飲む方法あり)ことはできます。
また、下剤を飲むのがどうしても難しいという方で、同日に胃カメラの検査をする場合は
胃カメラ検査の最後に下剤を内視鏡で注入する方法があります。下剤を半分以上注入することもできるので、飲む量を少なくすることができます。
下剤の飲む場所についても、条件が整えば、自宅で飲んでいただき、
自宅のトイレで便を出し切っていただくこともできます。
検査数日前に下剤を取りに来ていただく必要はありますが、
「病院のトイレの順番待ちがつらい」、「落ち着かない」という方はよいかもしれません。
また、下剤を起床後の早い時間から飲んでいただくと、
午前中のうちにきれいになり、検査も午前中に終えることもできます。
お仕事などでなかなか時間がとれない若い方にはおすすめです。
以前、検査をしたことがあり、朝から下剤を飲んだのに夕方くらいまできれいにならず、
病院に丸一日いたという方もいるかもしれません。
もともと便秘症の方、糖尿病の方、高齢の方、胃腸の手術を受けたことがある方、透析をしている方などは胃腸の動きが緩慢であり、
下剤を飲んでも、なかなかきれいにならないことが知られています。
そのような方は検査の数週間前より、便秘薬を強化し、毎日排便があるように調整したり、
数日前からの食事の内容を工夫したりすることで、当日の負担を減らすことができます。